New Farmer’s Plan

 就農して早や10年、しかし農作物の栽培経験はたった10回である。なかなかベテランにはなれない。
東北においては、露地野菜は年1作が限度なので10年で10作しか出来ないからである。
せいぜい、平均寿命まであと20年生きたとして果たして後何年農業で働けるか判らない。
ベテランになる前に、くたばりそうだ。

周りの畑を見渡せば、単純に1条30間×複数列という単純な植え付けで、めいっぱい畑の端まで植えつけている。
確かにシンプルで良さそうに見えるが、果たしてこれが最良なのかは甚だ疑問である。

もっと頭を使って、作付け配置のデザインを考える必要がある。
もちろん栽培する作物の生理に最適な配置にする事は必要だが、それが単純にひと通りとは限らないのである。

重要なのは、作付けする作物の種類を選定するときに、ただ単に販売品目だけをつくればいいのか?である。
ここが、単純に市場やJAへ出荷するのみの「単なる生産者」なのか、顧客サービスを考えた「農業経営者」の分かれ道である。
農産物の付加価値をどこに見い出すのかがキーポイントになると思う。

例えば、30aつながりの畑があったとしよう。

1・そこに目いっぱいとうもろこしを植えて生産し、従来どおりの販売をする場合

2・10アールは景観植物の花を植えて残り20アールにとうもろこしと枝豆を作付けして、
 花摘み取り自由にして、お花畑のところにテント休憩所を設け、とうもろこしもぎ取りと、枝豆収穫の体験をしてもらう
 グリーンツーリズム的な営業をする場合。もちろんその場でゆでて食べていってもらってもいい。

私だったら、2・を選ぶだろう。

それは、消費者と直接対話が出来るし、とても将来性があり夢のある農業に感じられるからである。
何よりも集客力にふさわしい規模で営業できるメリットがある。あとは、どうやって集客するかである。

 就農者年齢の高齢化と耕作放棄地の増加で、田畑が荒れるだけでなく、景観と人の心も荒れてきてしまっている。
地方は過疎化が一層進み農業離れが深刻になっていく。都市が栄え、地方が疲弊していく。
だからこそ都市と地方が共生して行く為の橋渡しとなるグリーンツーリズムをまきおこしていかなければならないと思っている。
今後の農業において、旧態依然で通り一辺倒の営農モデルから脱皮し、新しい営農ビジネスモデルの創造が必要になってくるのは間違いない。